DEVREV — WHITEPAPER

会話型コンピューター

人間のエージェンシーに向けて。コンピューターは約20年ごとに生まれ変わってきた――1980年代半ばのデスクトップ、2000年代半ばのモバイル。そしてポストTransformerのいま、人間と機械の体験は3度目の生まれ変わりを迎える。自然言語で指示に従い、コードを生成し、データに対して推論を始めた「会話できる」コンピューターの構想を描く。

TOWARD HUMAN AGENCY

会話が、新しいインターフェースになる

SaaSとクラウドコンピューティングはデータを中央に安全にホストし、企業間のコラボレーションをシームレスにした。だがビジネスソフトウェアのUIは、ブラウザベースの展開を除けば「ポイント・クリック・スクロール」という1980年代の作法のまま持ち込まれ、モバイルの消費者革命もビジネスユーザーにはほとんど届かなかった。

ポストTransformerの大規模基盤モデルは、コンピューターを「会話できる」ものへと変えた。会話には、大きなビジネス課題を小さな問いと答えに分解する力がある。ユーザーとコンピューターのあいだの思考の連鎖(chain of thought)は、記録し、省み、学ぶことのできる往復のやり取りであり、コンピューターを人間並みのエージェンシーへと近づけていく。

人間並みのエージェンシーにはまだ時間がかかる。それまで私たちは、日々改善していける野心を込めて、コンピューターのモデル(プログラム)を便宜的に「エージェント」と呼ぶ。

COMPUTER PROGRAMS & MEMORY

コンピュータープログラムとメモリ

エージェントとは、コンピューターのメモリを活用する自律的なディープニューラルネットワークであり、一連の特性(traits)――主要な機能とパーソナリティ、検証手法、モデレーション――を持ち、推論・function-calling(従来型API)・汎用的なタスク自動化(知識ベースのQA、コーディング、指示追従)を含む拡張可能な能力(capabilities)のライブラリを備えたコンピュータープログラムである。

メモリは長期記憶と短期記憶に分かれる。長期記憶は組織全体の「記憶」であるエンタープライズのナレッジグラフ――構造化情報とファイルや文書の非構造化情報――であり、短期記憶はユーザー設定、チャットボットのCookie、セッション履歴、そして他ユーザーの履歴がもたらすネットワーク効果(オートコンプリート、「もしかして」、「これをした人はこれもしています」)を含む。

AGENT SKILLS

プログラムのためのライブラリ

スキルは、アクター(エージェント)によって呼び出される発見可能な能力であり、任意で他のスキルやエージェントから構成される。規範的で決定論的だった旧来のワークフローと異なり、スキルは確率的に振る舞いうる。

NO-CODE / LOW-CODE / HIGH-CODE

3種類のノードで構成する

ステートマシンエディタ上で、ノーコードの制御フローノード、自然言語プロンプトとしてのローコードノード、作り手が選ぶ任意のプログラミング言語によるハイコードノードを組み合わせてスキルを構成する。最も原子的(atomic)なスキルが「ノード」である。

PRESCRIPTIVE VS. PROBABILISTIC

確率的に振る舞う

スキルはモデルの温度やサンプリング手法に応じて確率的に振る舞い、主観的な答えを返すこともある。特定のノードはその場でコードを生成し、text2sqlやtext2apiのような動的な関数を実行できる。

IMPORTED LIBRARIES: FUNCTIONS | TOOLS

既存システムに接続する

一部のスキルはAPI経由で既存システムに接続し、外部システムの「記憶」を取得・更新する。これを「関数」や「ツール」の呼び出しと呼ぶ――レガシーなライブラリを新しいプログラムにインポートすることに似ている。

FEDERATED VS. INTEGRATED AGENTS

フェデレーテッド・エージェントと統合エージェント

長期記憶のアーキテクチャ――あるいはその不在――がエージェント全体の振る舞いを決定づける。ペーパーが示す2つのモデルの対比を要約した(出典 p.5-6)。

COMPUTE & COMPUTER MEMORY

行列の中へ、そして長期記憶を整理する

従来のコンピューターはCISCの複雑な命令を実行し、行列を一度に扱うことはほとんどなかった。新しいコンピューターは一度に巨大な行列を扱わなければならない。自然言語・画像・動画・音声は、意味論的な思考と注意(attention)ベースの生成を必要とするリッチなデータだからだ。だからこそプログラムはCPUベースの規範的ノードとGPUベースの記述的ノードの両方から構成され、人間の関与(human-in-the-loop)が汎用人工知能への道となる。

長期記憶は「マッチ」から「検索」へ、「答え」へ、そして「推論」へと進むために整理されなければならない。中核となるのは、分析にSQLでアクセスできるWebスケールのグラフデータベースだ。自己記述的(スキーマレス)な永続化モデルによって、リレーショナルデータベースの制約に縛られずに大規模なカスタマイズと部門横断の推論を可能にする。これに転置インデックス、ベクトルデータベース、データウェアハウス、時系列分析データベースが加わる。

SPECIALIZED MEMORY · FOLDERS & PARTITIONS

特化した推論モデルと、その整理

ベクトルデータベースやウェアハウスだけでは、長い思考連鎖のやり取りを完全には満たせない。論理や長いCoTに特化したモデルは「蒸留(distillation)」――教師ありファインチューニング(SFT)や強化学習(RL)――によって生まれ、より小さく特化した大規模推論モデル(LRM)となる。これらはエージェントとして具現化され、他のエージェントのスキルから呼び出され、ゼネラリストとスペシャリストによるマルチエージェントのハンドオフ・アーキテクチャを形づくる。

では、関数・スキル・エージェントはどう整理し発見するのか。文書はベクトルDBに格納されるが、関数・ワークフロー・分析ウィジェット・エージェント自体の発見可能性は、オープンソースプロトコルのModel Context Protocol(MCP)が担う。MCPはまだ黎明期だが、ネットワーク上のあらゆるコンピューターリソースの発見を支える、現代の「DNSのような」プロトコルになる可能性が高い。

COMPUTER WORKGROUPS — TEAM INTELLIGENCE

ワークグループとチーム・インテリジェンス

パーソナライゼーションは、プログラムやエージェントを多様な相手にとって有用にする鍵だ。エージェントはナレッジベース、スキルの集合、表示・ペルソナ設定からなる「コンテナ」を定義し、それぞれの相手は自分専用のエージェントにルーティングされる。どのエージェントを誰に公開し、どのスキルを誰が追加・更新できるかを認可する役割が社内に生まれる。

現代のコンピューターはより緊密につながった世界を作り、チーム・インテリジェンスを解き放つ。すでにある知識や資産を発見し、顧客もまたチームの一員として近くに引き寄せ、人間を組織化するために作られた「部門」を横断してより良く推論する。安全な領域である「プロジェクト」と「チーム」の中で、汎用スキルを持つスーパーエージェントがオペレーティングシステムのように空間を縫い合わせ、ブランド別・地域別・チャネル別のエージェントを可能にする。

COMPUTER DISPLAYS

3つのディスプレイ

ペーパーが描く、会話型コンピューターの3つのディスプレイモードを要約した(出典 p.12-15)。

A REASONING PEER

命令を受け取るのではなく、ともに推論する仲間へ

根本的に、新しいコンピューターは単に命令を受け取るのではなく、ともに推論できる仲間(peer)のように振る舞う。現代的なデータ構造を記憶に備えることで、ユーザーは優先順位付け・分類・変更といったビジネス上の意思決定について、コンピューターと長い思考連鎖のセッションを行える。ポストトレーニングのRLといった手法によって、単純なビジネスタスクは消え、複雑なものは単純になり、不可能だったものは達成可能になる。

推論は、量子コンピューティングのqubit(量子ビット)とともにさらに良くなる――「あれもこれも」というパラドックスを受け入れられるからだ。それは人間とコンピューターのエージェンシーにおける、まさに量子的な飛躍となるだろう。人間と機械の体験の、3度目の生まれ変わり。会話型コンピューターとともに。

会話は、コンピューターの新しいインターフェースだ。

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